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50センチの距離
第37章 フレンチトースト & クロックムッシュ
2人でのんびりコーヒーを飲んだ後、再び部屋に上がる。

「あ、忘れてた、少し早いけど…バレンタインのプレゼント。」

「バレンタイン?俺チョコは…」

「知ってる。だから食べものじゃないのにした。開けてみて?」

高塚さんがガサガサと包みを開ける。

「お、ライター。キレイな色だな。」

「高塚さん赤好きかなーと思って。」

「うん、好き。言ったっけ?」

「うぅん?携帯のケース赤だし…」

「あぁ、そっか。うん、まぁ、好きな色だな。アレ、なんか彫ってある…?…「da Chica a Show」(チカからショウへ)…おぉ、イタリア語にしたんだ…それにこのハートのモチーフ…」

「可愛いかな、と思って。」

「うん、ハートに火をつけて、てトコかな?」

「え?」

高塚さんがタバコのケースの底を弾いて飛び出したヤツを咥えて引き抜いた。この仕草、好きだ…ライターをパクっと開けてタバコに火を付け、タバコと一緒にポケットにしまいながら、ふー、と煙を吐く。右手の指の間にタバコを挟んで遠くに持ち、左手で私を抱き寄せる。

無言で深いキスをした。

食後の、タバコの味がするキス…舌を絡めて、ちゅう…と唇を離し、

「もうとっくに火はついてるけどな。」

と笑った。






ーfinー










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