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50センチの距離
第38章 ホタルイカのペペロンチーノ
「美味しそう!」

「どうぞ。」

「いただきまーす!」

パスタをフォークで巻き取り、ひと口頬張る。

もぐもぐと咀嚼しながら、ん!と目を見開いた。
この後美味しい!に移行する、はず。見慣れたこの顔も、何回見ても可愛い。ごくんと飲み込んだ後、

「美味しい‼︎」

と叫んだ。

「イカの風味が濃厚〜‼︎ すっごい美味しい‼︎」

「よかった。買ったやつがなくなるまでは出すよ。どのくらい保つかはオーダー次第だけど。」

「このパスタ、幾らで食べられるの?」

「1300円」

「夜メニューにしてはお手頃だね。」

「ウチの単価からすればまぁ平均だろ。」

材料もホタルイカとパスタだけだし、ホタルイカは一皿に使う量もさほど多くないから原価的にも知れてる。

「前のイタリアンレストランて、神戸のアルジャーノってとこなんでしょ?」

「うん。」

「そこでは幾らだったの?」



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