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50センチの距離
第40章 birthday cake
耳掃除なんて人にして貰った記憶がないんだけど…とこそばゆくなりながら寝転がると、チカが膝枕してくれて。
チカの腹に鼻が引っ付くくらいの距離で息を吸い込むと甘い柔軟剤の匂いがする。チカの匂い。
耳かきで耳の中をコリコリ掛かれるの、気持ちイィな…ヤベェ、寝そう…と思った瞬間、激痛が走る。

「…イッ‼︎⁉︎」

「あ、ごめん!痛かった⁉︎」

「…もういいわ…」

ズキズキと痛む耳を抑え、起き上がる。

「ごめんね…」

「いや、いいけどさ…」

ナニやってもイマイチ決まらねぇな、と思ったらなんだかおかしくなって、思わず笑いが込み上げる。チカも急にどうしたの?と言いながら吊られたように笑い出した。

1年近く、近づけそうで近づけない、微妙な距離を保って、付き合い始めたら今度は間合いの取り方が分からない。
でもこうやって、少しずつ、少しずつ、2人の時間を作っていけばいいんだ。お互いのやりたいことや嫌なこと、ちゃんと口に出して共有していかないと、以心伝心なんて出来ないんだから…

チカのコトが好き。この、揺るがない事実だけを持って、2人で幸せになれる道を模索していこう。







ーfinー





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