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50センチの距離
第8章 スクリュードライバー
ある土曜の夜。
野田さんは来てなくて。

夜8時頃、だったか。

1組のカップルが入って来て。
席は空いてたけど、隣り合ってなかったから、1人の先客に手を合わせて1つ横にズレてもらうようお願いする。

カウンター10席しかない店だから、そんなことは日常茶飯事だ。
客側にしても、そんな大移動するわけじゃないし、大抵は応じてくれるか、あ、じゃあそろそろお愛想、て流れになる。

一時の間があって、席に着いたカップルの、男の方が、以前野田さんとランチに来た男だと気づくのに、しばらくかかった。
やっぱスーツと私服って感じが変わるもんだな…

私服の男(…確か村上だったよな)は、緩く巻いた髪の女の子と一緒で。どこからどう見ても恋人同士、て感じだ。
…野田さんともいい感じだったのに、今日は全然違うタイプ連れてんじゃねェかこのヤロウ…

2人は食事も兼ねて、だったようで、フードメニューのボロネーゼとカルボナーラ、アンティパストの盛り合わせを注文した。

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