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第42章 アッラ ルチアーナ（タコとトマトのパスタ）

張り切って2人でディナーを予約して、それなりに張り込んだだろうに、味も雰囲気も昔の記憶とは違ってて、不完全燃焼に終わったらしい。
だいぶん凹んだテンションで、俺に電話を掛けてきた。
仕方なく、その時に作ったメインの１つである、ルチアーナを作ってやるから店に来い、カウンターだけだから子供席はないけど、土曜の昼間なら店開けてないから他の客も居ないし、レジャーシートでも広げて子供も遊べるようにしてやるよ、と約束した。

隆とクミちゃんはデキ婚で。
当時、隆は24、クミちゃんは2つ年上だから26だったのか…
隆は高卒で就職したけど、入った会社が東京本社のトコで、3〜4年で営業所が閉鎖して、東京に行けるなら残れる枠もある、みたいな話だったらしいけど、クミちゃんと付き合いだしたトコで、遠距離なんてイヤだ、とあっさり辞めてしまって。
転職したからまだまだ駆け出し、クミちゃんはアパレルの仕事をしてて、店長として店を切り盛りしてたけど、チェーン店だからバイトと新人を指揮して育てながら売り上げを追求して、イベントも考え、上からは叩かれる、かなりストレスのかかる職場だったようだ。そして、そんな環境でも給料は然程良くない、のがアパレル業界なんだとか。