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50センチの距離
第45章 インスタントコーヒー
タルゴナコーヒーをひと口すすり、

「うん。甘い。コレ高塚さんはムリだと思う。」

「うん、飲まなくても分かってる。」

「味は…コーヒー牛乳かな。」

「コーヒー牛乳だからな。」

当たり前の感想を真顔で述べるチカに苦笑する。この材料で他の味がしたらその方がびっくりだろ。

「でも、見た目がカワイイし、コーヒーのモコモコした感じも楽しい。ありがと、高塚さん。」

ガラスのコップを両手で持って、ミルク髭ならぬコーヒー髭つけて微笑むチカ。
なんだその可愛いの…

思わず隣に座ってるチカの後頭部を引き寄せ、唇の端についたコーヒーの泡をぺろっと舐め取った。

「甘っ…」

慌ててブラックコーヒーを飲む。

「…綾部で告白した時も、電車の中で、私の唇舐めたでしょ…」

「そうだっけ。」

「そうだょ…」

真っ赤になって俯く。可愛いすぎだろ…

「ダメだった?」

「…もっと、して欲しくなっちゃう…」

好きなオンナからの、そんな煽り文句に昂ぶらないオトコが居るんだろうか…

イヤ、居ない。きっと居ないハズだ。


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