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50センチの距離
第45章 インスタントコーヒー
チカは電話を操作して、切ろうとしたんだと思ってたのに、
あ!という小さな声と共に、

「ちょっと千束⁉︎」

という声が聞こえた。ウソだろ、出んの、いまこの状況で⁉︎

「や!お母さん、ごめっ…今取り込んでて…ちょっ…後で掛け直すから!」

思いっきり取り込んでましたとも!
でも出ちゃうんだ…チカ…
何、電話出れるくらいヨユーなわけ、俺とセックスしてる時って…

のそり、とチカの上から降り、横に転がる。
いじけるくらい、許されるよな、今の俺の状況なら…

電話をことりと置く音がして、

「あの…切ろうと思ったの、慌てて手が当たって、通話タップしちゃったの、ごめんなさい!」

チカに背を向けた、俺の背中にしがみつくように、チカが謝ってくる…

あぁ、そういうこと、かぁ…
そりゃ焦る気持ちもわかるけどさぁ…

どっちにしても戦意喪失したオレのモノはしおしおと縮み、チカの身体から離れたと同時にズルリとゴムが脱げた。

一回外れたゴムはもう使えない。ムリにつけても破れたり傷ついたりするし、つける時に破れなくても空気が入ったりすると最中に破れたりするっていうから、こうなったらもうタダのゴミだ…
そして!俺は今日ゴムを1個しか持ってこなかった…

つまり、その貴重な1個をロスしてしまった今日は、もうこれ以上デキナイってことだ…



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