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SMを詰め込んだ短編集
第13章 執事の恋心/SM
「あのお皿1枚を入手するために、新人の執事はあちこちに掛け合って、ようやくお嬢様のお手元に届きました」
「許してっ許してくださいっああっ!!」

正面から押しつぶすように叩きつけるのが、いまの所1番効くらしい。
仰け反ったり捩ったりと必死に抵抗を見せるが、無理な体制でぎっちりと釣られているためあまり意味を為していない。
昼の庭でお嬢様がした行為について、丁寧にひとつずつ説明しながら鞭を入れた。
ノックに返事もしなかったこと、俺に対しクッションを投げつけたことも、暴言を吐いたことにも勿論、淑女としてあるまじき態度だと懇切丁寧に説明してから鞭を強めに入れた。

全てに対して謝罪なさったお嬢様は、すっかり蕩けきったお顔をなさり、シーツをドロドロに汚してしまっていた。

「おや…お嬢様。お仕置きの最中に粗相など…」
「もっ…ゆる、て…」

滑舌が悪く、すっかり掠れた声だが、しかしつぐみのように美しい声だった。

「すごい匂いですね。恥ずかしい」
「れん…や…」
「綺麗にしましょうね」

びくりと肩を震わせたお嬢様は、はらはらと透明な涙を流す。
“綺麗にする”という言葉だけで、はしたなく恥ずかしいそこがひくひくと期待した。

無言でスーツケースを漁る俺の動向を、涙してじっと見つめるお嬢様が愛おしくてたまらない。
洗って消毒したタオルと、消毒用のアルコールボトル、それから球体コットンとピンセットを手にすると、傍目でも分かるほどお嬢様が震えだした。

「蓮っ!お願いやめて!」
「何故です?このままではバイ菌が入るかもしれませんので。淑女でなくとも清潔にしなくてはなりません」
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