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SMを詰め込んだ短編集
第13章 執事の恋心/SM
鈴は元々、明るく素直で、誰にも平等で、心優しい女の子だ。
あんな理不尽な我儘を言うようになったのは、俺がここを離れると知ってからだった。
自惚れていいのなら、鈴は俺をつなぎ止めておきたかったのかもしれない。我儘を言って喚き散らし、研修に来た執事をみんな追い出そうとしていたのかもしれない。…いや、きっとそうだ。
多分誰も気が付いていないだろうが、俺はしっかりこの目で見たのだから間違いない。
クッキーをわざとひっくり返した時、一瞬泣きそうな顔をしたこと。
靴が嫌だと喚いていたが、あれは夫の候補に選ばれた男からの贈り物だったこと。
髪飾りが気に入はないと、物凄い数の髪飾りを窓からみんな捨てたこと。残ったものは、俺が幼い頃に鈴にプレゼントしたものだった。
蓮が淹れてくれるお茶が大好きだと、太陽みたいな顔をした幼い日。あの日以来俺以外が淹れるお茶は、どんなに高級な茶葉であろうとも、どんなに美味しく仕上げようとも、みんな気に入らないと喚いていたことにも気がついていた。
過酷な調教のあとのセックスの時、俺は必ず鈴の深くに精液をたっぷり注ぐ。その際、至極幸せそうに笑う顔。掠れて聞き取れないほどの小さな声で、毎回必ずだいすきだよと呟いてくれること。
知らない振りを貫き通していたが、俺はちゃんと知っていた。
なんと健気な、俺のお姫様。
「愛してたよ、鈴。誰よりも。どうか…どうか、幸せに。元気でね。」
赤みが差した頬にキスをして、濡れた唇を指でなぞる。
このぷっくりした唇が、俺の名を紡ぐことはもうないだろう。
そっと唇にキスをした。
黒いスーツケースを持って、部屋の明かりを落とした。
音を立てずに扉を開けて、1度だけ振り返る。
鈴の肩が震えているように見えたのは、見間違いか、それとも…。
あんな理不尽な我儘を言うようになったのは、俺がここを離れると知ってからだった。
自惚れていいのなら、鈴は俺をつなぎ止めておきたかったのかもしれない。我儘を言って喚き散らし、研修に来た執事をみんな追い出そうとしていたのかもしれない。…いや、きっとそうだ。
多分誰も気が付いていないだろうが、俺はしっかりこの目で見たのだから間違いない。
クッキーをわざとひっくり返した時、一瞬泣きそうな顔をしたこと。
靴が嫌だと喚いていたが、あれは夫の候補に選ばれた男からの贈り物だったこと。
髪飾りが気に入はないと、物凄い数の髪飾りを窓からみんな捨てたこと。残ったものは、俺が幼い頃に鈴にプレゼントしたものだった。
蓮が淹れてくれるお茶が大好きだと、太陽みたいな顔をした幼い日。あの日以来俺以外が淹れるお茶は、どんなに高級な茶葉であろうとも、どんなに美味しく仕上げようとも、みんな気に入らないと喚いていたことにも気がついていた。
過酷な調教のあとのセックスの時、俺は必ず鈴の深くに精液をたっぷり注ぐ。その際、至極幸せそうに笑う顔。掠れて聞き取れないほどの小さな声で、毎回必ずだいすきだよと呟いてくれること。
知らない振りを貫き通していたが、俺はちゃんと知っていた。
なんと健気な、俺のお姫様。
「愛してたよ、鈴。誰よりも。どうか…どうか、幸せに。元気でね。」
赤みが差した頬にキスをして、濡れた唇を指でなぞる。
このぷっくりした唇が、俺の名を紡ぐことはもうないだろう。
そっと唇にキスをした。
黒いスーツケースを持って、部屋の明かりを落とした。
音を立てずに扉を開けて、1度だけ振り返る。
鈴の肩が震えているように見えたのは、見間違いか、それとも…。