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SMを詰め込んだ短編集
第14章 敵と味方 奴隷/SM(風味)
大国に対し、喧嘩を売った弱小国が負けることなど火を見るより明らかだった。そんなもの、10に満たない子どもだって分かることだった。
国王は──父は、10に満たない子どもの思考より、ずっと幼稚だったのかもしれない。

鈴は朦朧とする意識の中、そんなことをぼんやりと思った。



城下の広大な敷地を誇る広場の真ん中に、鈴は横一列に3つの穴が開けられた木の板に、首と両手をそれぞれ嵌め込まれた状態で立たされていた。
戦争に負けた弱小国の姫君という位置だった鈴は、慰謝料という形でこの国に「献上」された。
独裁政権などという言葉では生ぬるいと思うほどに酷い王、この国を辱めた国王、その娘として。
ただし鈴は、本当にその王の子かと首を傾げるほど聡明で美しく、穏やかで優しい気立てのいい子であった。
そんな鈴が敵国に献上されるなどと聞いて、国民は黙ってはいなかった。しかし、弱小国の、一般市民である。いくら声をあげようともそれは届かなかった。鈴はひとり船に乗り、この国へひとりでやってきたのであった。

港に待ち構えていた大国の傭兵に拘束され、一通り乱暴を受けた後この広場へ立たされているのである。首と両手を同じ高さに拘束され、顔を背けることもその身を隠すことも出来ない鈴の滑らかな肌は、物凄い数の群衆に晒されていた。
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