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第15章 SNS/SM

あたしの名前は生田沙良（いくた　さら）
自分で言うのも何だけど、顔は悪くないと思う。グラマラス…とは言い難いけど、でもクラスの中じゃ結構いい方だと思う。成績？５から落としたことないです。ほとんど全部100点。運動だってできるほうだし、気が利くし、友達じゃなくたって優しくするし、男女平等に接するし、人望も厚いからクラス委員を決める時なんか満場一致であたしに票が入る。まさに才色兼備、大和撫子。
…そんなわけないじゃん。全部全部、演技。ぶりっ子で何もできなくて、甘えてばかりのあいつなんか〇ねばいいと思ってるし、やたらベタベタしてくる男子の口が臭すぎて、事故を装って鳩尾に一発入れてやったこともある。調子に乗ったセクハラハゲ教師なんか裏でこっそり教育委員会に連絡して左遷させた。
才色兼備は大変だ。逆上がりが出来なくて焦ったあたしは、夜中にこっそり公園に行き、血豆ができるくらい練習した。ピアノだって、沙良ちゃんはすごいわねって言われたくて何時間もピアノの前に張り付いて、そうしてお稽古当日涼しい顔で弾いてやった。案の定、沙良ちゃんはすごいわねって先生が褒めてくれた。あの時の高揚感と言ったら！
沙良ちゃんってすごいね、何でもできるね、偉いね……。あたしは褒めて欲しい一心で、才色兼備の演技をする。