この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
SMを詰め込んだ短編集
第15章 SNS/SM
だけど一番褒めて欲しい人は、あたしを絶対に褒めない。ママは、あたしのことが嫌いなんだ。
算数のテストで1問だけケアレスミスをしたあたしに、ママはため息ついて、馬鹿は嫌いよとテストを破り捨てたあのゴミを見るような目が忘れられない。どれだけショックだったかって、ママには一生分からないと思う。だって、県内一番の進学校で一番を取ったって、ピアノのコンクールで金賞取ったって、かけっこが一番だって、ママはあたしを褒めてくれなかった。あたしはママに褒められたいだけなのに。それだけのために、自分を殺していい子を演じているのに。
いい子でいるのは大変だ。全身を掻きむしりたくなるような猫なで声で、沙良ちゃん助けて~って甘えてくるゴミ女のケツ拭きとか、じゃあ生田さんお願いねって面倒事を押し付けてくる若作りキモ婆教師に愛想振り撒いたりとか、乞食クソビッチ女の下らない自慢話に付き合わなきゃいけないんだから。
あたしがあたしでいられるのは、SNSの中だけ。裏垢作って自分を曝け出す深夜のこの時間が、何よりの幸せ。
あたしは馬鹿じゃないから、勿論本名で登録なんて絶対しない。適当に「りん」と付けて愚痴を呟いてる。それから…
「ふふっ…きれいだね、だってさ…」
ベッドに潜ってスマホを弄る指を止められない。かわいい、もっと見せて、とってもきれいって文字が並んで、知らない人がたくさんたくさん褒めてくれる。
顔は絶対に写さない。だけど、ちょっとおっぱいの画像上げたら馬鹿みたいにフォロワーが増えた。乳首がぎりぎり写らないように、でも谷間はちゃんと見えるように、ああ下着をちょっとだけずらしてみるのもいいかも。そんなことをやっていたら、褒めてくれる人が爆発的に増えた。ああ、たまらない。もっと褒めて。
どういう角度の画像が欲しい?
ある日そんなことを呟いた。馬鹿なフォロワーは馬鹿みたいな指示を出してきて、頭の悪い奴らを相手にするのが馬鹿らしくなってきて、結局自分で研究することにした。
そうこうしているうち、ひとりのフォロワーが具体的に指示を出してくるようになった。
算数のテストで1問だけケアレスミスをしたあたしに、ママはため息ついて、馬鹿は嫌いよとテストを破り捨てたあのゴミを見るような目が忘れられない。どれだけショックだったかって、ママには一生分からないと思う。だって、県内一番の進学校で一番を取ったって、ピアノのコンクールで金賞取ったって、かけっこが一番だって、ママはあたしを褒めてくれなかった。あたしはママに褒められたいだけなのに。それだけのために、自分を殺していい子を演じているのに。
いい子でいるのは大変だ。全身を掻きむしりたくなるような猫なで声で、沙良ちゃん助けて~って甘えてくるゴミ女のケツ拭きとか、じゃあ生田さんお願いねって面倒事を押し付けてくる若作りキモ婆教師に愛想振り撒いたりとか、乞食クソビッチ女の下らない自慢話に付き合わなきゃいけないんだから。
あたしがあたしでいられるのは、SNSの中だけ。裏垢作って自分を曝け出す深夜のこの時間が、何よりの幸せ。
あたしは馬鹿じゃないから、勿論本名で登録なんて絶対しない。適当に「りん」と付けて愚痴を呟いてる。それから…
「ふふっ…きれいだね、だってさ…」
ベッドに潜ってスマホを弄る指を止められない。かわいい、もっと見せて、とってもきれいって文字が並んで、知らない人がたくさんたくさん褒めてくれる。
顔は絶対に写さない。だけど、ちょっとおっぱいの画像上げたら馬鹿みたいにフォロワーが増えた。乳首がぎりぎり写らないように、でも谷間はちゃんと見えるように、ああ下着をちょっとだけずらしてみるのもいいかも。そんなことをやっていたら、褒めてくれる人が爆発的に増えた。ああ、たまらない。もっと褒めて。
どういう角度の画像が欲しい?
ある日そんなことを呟いた。馬鹿なフォロワーは馬鹿みたいな指示を出してきて、頭の悪い奴らを相手にするのが馬鹿らしくなってきて、結局自分で研究することにした。
そうこうしているうち、ひとりのフォロワーが具体的に指示を出してくるようになった。