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SMを詰め込んだ短編集
第16章 私のかわいい双子たち/SM
確か始まりはただちょっかいを掛け合ってただけ…だったような気がする。くだらない冗談を言って軽く小突いたり擽ったり、そんな極軽いものだった…と記憶している。あたしが正しく記憶していたら。
彼らはイタズラ好きで手のかかる弟達だと思っていたし、あの頃はあたしのほうがずっと背も高かったし力も強かった。この記憶は間違いない。ただ隣に住んでいるというだけなのに、小さい頃から鈴ちゃん鈴ちゃんとあたしの後をくっついてくる可愛い双子の男の子。天使のように愛らしい顔と、色白でか細い体躯、数分置きに泣いたり怒ったりと忙しい子達。
可愛い弟のように思っていた双子は、例えば、まん丸の果物を銀のナイフで綺麗に真っ二つにしたような、そっくりと言うよりそもそも1つだったかのような、全く同じ顔をしていた。彼らの親すらも間違うほどだった。
鏡映しのような彼らは、驚くことに性格だけはまるで正反対だ。だからなのか、おもちゃやお菓子がひとつしかなくても、取り合ってけんかをするなんてことは絶対になかった。小さい頃からそうだし、今もそう。兄の蓮音(レオン)は何でも仕切りたがるタイプで、弟の紫音(シオン)はおっとりしている。ご近所さんにも至極可愛がられていた彼らは、当然友達も多かった。愛嬌ある笑顔と、懐っこい性格は彼らの最大のチャームポイントとでも言えよう。

──ただし、ふたりとも究極の猫かぶりだということは多分誰も知らないだろう…

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