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愛おしいキミに極甘な林檎を
第35章 ひとりの時間に……



「本当にママになってくれるの?」


後ろからやって来る期待が込められた声に心が痛む。


幼い子供の心を傷付けないように言うにはなんて言ったらいいんだろう。


それに私を連れて住む家を探すなんてどういうことなんだろうか。

今すぐに説明してもらいたい。



「僕らにも色々あるように、風子さんにも色んな事情があるんですよ」


理人さんは言葉を濁して結婚についてはそれ以上何も言わなかった。




それから四人で不動産屋に向かい、条件に合った賃貸を見学させてもらった。


家賃を抑えていて広いところを求めているだけあって築年が古いところばかり。

スムーズに閉まらない扉にトイレも時代を感じる古さ。


乙羽家の借金を返せなかったら私もこういうところに住んでいたのかもしれない。



「風子さん、どう思いますか?」


「どうって……。子供を育てたことがないから分かりませんよ」


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