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愛おしいキミに極甘な林檎を
第5章 本物の愛を探して…

すると千十郎さんは深く頭を下げた。


「婿を取ってここの跡を継ぐか、子を……男を産んで欲しい」

「は……?」


「祖父として孫に何もしてやっていないのにこんな事を言うのは間違っていると思う。
だが、わしの代でこの家を失ってしまったらご先祖様に顔向けできないし、血を途絶えさせたくないのだ」


「えーっと……、申し訳ないですけど私にとってはメリットがないのでお断りします」


「悪い条件でない。わしの資産を上手く管理していけばおまえは一生金に苦労することはない」


そう言われた後、嵐谷さんが私のそばに来て手を添えてそっと話してくる。

「千十郎さんはね、たくさんの不動産を持っている方なの。この辺りでは不動産王と言われているわ」


不動産王……!?

だから母は連れ出される私を止めなかったんだ……。

私だけでもお金に困らないように……。

そう思うと涙が滲んでくる。


「今の育ての親には借金があるようだな。交換条件としてまずはその借金を全て返済してやろう」

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