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愛おしいキミに極甘な林檎を
第36章 You belong to me

那砂さんから渡されたあの紫のチューリップも祖母が大切にしていた花壇の方で咲いていたもの。
茎を切り取った紫のチューリップを一本だけ部屋に飾られてあまりにも不気味だったからどういう意味なのか調べてみた。
すると花言葉は“不滅の愛”という意味だった。
つまりあの花壇には、……なくならない愛がある。
「いつまで追い詰められているつもりだ。奇跡など起らぬのだから潔く参ったらどうだ」
「起こるはずのない出来事だから“奇跡”と言うんですよね」
将棋盤をじっと見つめているソラ先輩が心配で理人さんに状況を聞こうとすると、クールな目をいつもより見開いていた。
少し驚いているようにも見える。
「理人さん……?」
「これは…信じられません……」
何が起きているのかと思って再びソラ先輩の方に視線を向けると、駒を左手に持ってから口角を上げて小さく笑った。
「でも奇跡が起きないなら、自ら作りにいくまでですよ」

