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愛おしいキミに極甘な林檎を
第36章 You belong to me

「なっ……。なんだと……」
「これでは王を守ってくれる兵がいませんね」
パチッと駒を置いた音が聞こえた後、近づいて将棋盤を見てみると祖父の王将の前に金将があった。
その後ろには歩兵と書かれた駒が縦に並んでいる。
「あの……、理人さん。これはどうなんですか……?」
「ええ、防御は不可能ですから塑羅緒さんの勝ちでしょう。千十郎様が負けてしまうなんて……」
「……参りました」
歯を食いしばって悔しそうな顔をした祖父は頭を下げて負けを認めた。
ソラ先輩が勝ってくれて嬉しい反面、今後の祖父のことを思うと少しだけ複雑な気持ちになった。
「ありがとうございました。約束どおり、風子さんは俺がいただいていきます」
立ち上がったソラ先輩が私の前にやって来て手を差し伸べる。

