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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

疑ってしまうような言葉が耳に入って来ると喉の奥が苦しくなってくる。
「どうして私を捨てたの……」
苦しい胸の内からなんとか出てきた言葉がそれだった。
でもそれと引き換えに堪えきれなくなった涙が零れ落ちる。
「捨ててなんかいない……。いつか迎えに行きたいと思っていたけど、迎えに行けなかったの……」
泣かれているせいでよく聞こえないけど確かにそう言った気がした。
背中に回していた手を離されてからよく顔を見られたけど視線を避けたくなる。
結婚前に浮気をしてできた子供が私だと聞いていた。
だから産みの母は乙羽家に養子に行く前の私を育ててくれていた父を裏切っている。
そんな人が本当に私を愛してくれているんだろうか……。
愛されていたことを信じたくても、いまいち信用できなかった。

