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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

「ああ……。風子にはこの家に縛られずに自分の好きなように生きて欲しい。育ててもいないのに言えた義理じゃないが」
「お義父さんとも話し合ったから何も心配はいらないわ。だから安心して幸せになってね……」
何もかもが信じられなくて、ただ驚くことしかできなかった。
夢かと思ってソラ先輩の方を見ると今度は優しく微笑んでもう一度手を重ねてくれた。
体温を感じるから夢でなくて本当だ。
私はここにいる……。
ここにいていいんだ……————
涙でぼやけていく目を閉じて自分の役割が終えたことを感じた。
ハンカチで目尻から流れそうになった涙を拭いた後、血の繋がった父と母の顔をもう一度見る。
この人たちから私は生まれたんだ……。
会えて良かった……。
「あの……、さっきから気になっていたんですけどそちらの人は……」
母の隣から少し距離を取って座っている青年の方に私は手を向けた。

