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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

「この子は風子の弟よ。今年で十九歳になるの」
「私の弟!?」
青年に目を向けると顔を赤らめて恥ずかしそうにペコッと頭を下げた。
今まで一人っ子で育ってきたから自分に兄弟がいることが信じられない。
でも乙羽家に養子に行く前はひとりで寂しい思いをして暮らしていたから家族が増えるのは嬉しい……。
「ずっと日本に興味があるから行きたいって言っていたのよ。だからこっちで暮らすことに快くオッケーしてくれたの」
「そっ…、そうですか……」
初めてできた弟と色々話してみたいけど、見た感じ消極的そうだから距離がありそうだ。
新しい家族に口元が緩む中、廊下に視線を移すと隠れて聞いていた理人さんと目が合う。
気づかれないように慌てて姿を消したけど、寂しそうな顔をしていたように思えた。

