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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

前に会った時はまだ引越し先が決まっていないと言っていた。
きっと私の血の繋がった両親が帰ってきてここに居ずらいんだろう。
他人だから……。
いずれ引っ越すと言ってもこれでは追い出しているような気もする。
私の悩みがなくなって幸せになる分、理人さんがいたたまれない思いをするのは複雑だった。
「もし、風子が許してくれるのならわたしたちの元に戻って来る気はない……?」
控えめに母が言う。
夢見ていた本当の家族。
血が繋がっていないから悪いと思って今まで一線を引きながら暮らしてきた。
だけど目の前の両親を許す、許さないを選ばなくてもその答えは決まっていた。
「私はこのままでいます。今の両親が私の親であって大切な人たちですから」

