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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

ゆっくりと歩く私を心配してくるソラ先輩の手を引いて屋根のある場所へ走った。
ベンチがひとつだけある小さな東屋でしばらく降り続く雨を見る。
服が濡れて湿っていて、肌には水滴が乗っている。
でも外へと飛び出したくなった。
気持ちが抑えられなくなってピチャピチャと水たまりを踏んで雨に濡れた。
今日は朝から涼しかったから雨も冷たい。
でもすっきりとして気持ち良かった。
「戻ってきなよ」
心配しているような声色でソラ先輩に止められて振り向いて答える。
「……私、今とっても、とっても嬉しいんです」
「なにが……?」
「今まで生きてきて、心にずっと引っ掛かっていたものがなくなって幸せだなって思って」

