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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

「郁哉さんに教えてもらったんだよ。風子とデートをする代わりに、お爺さんから借金を払った証拠を見せてもらって欲しいと頼んでね」
「その時から知っていたなら教えてくださいよ……」
「教えていたら変わっていたかな?」
「えっと…、それは……、なんとも……」
北海道に出張に行った頃にも情があったから、知ったとしても祖父のことは見捨てられなかったと思う。
私では問題をすべて解決することもできなかっただろうから何も言えなかった。
「雨だ……」
そう言われて手のひらを見ると小さな水滴が落ちてきた。
見ているとぽつぽつと降ってくる。
辺りを見渡すと先程まで遊んでいた子供たちやカップルの姿がいなくなっていた。
ベンチから立ち上がって歩き出した時には、いきなり雨が強くなってきて服や肌があっという間に濡れていく。
「早く雨宿りできるところに行こう。風邪引くよ?」

