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愛おしいキミに極甘な林檎を
第6章 結婚相手
あれから家には帰れず、祖父の家から仕事に通う生活が続いた。
念の為、私が逃げないか見張っているらしい。
私と祖父と理人さんとその兄弟の四人暮らし。
綺麗な広い部屋を貸してもらって必要最低限の物を買うお金は貰えたから何不自由なく過ごせている。
お見合いの時以来、嵐谷さんの姿もなく平和な日々。
今年のクリスマスは平日で特に約束もなかったから、理人さんの弟と妹のためにケーキを作って楽しんだ。
そもそも今月は借金にあてたせいで自由に使えるお小遣いがないから派手に過ごせない。
結局、課長のことを食事に誘うこともできなくて想いを伝えられないまま仕事納めになった。
「今年も何もなかったですねー。小学生の頃に立てたライフプランだと結婚してる予定だったんですよ」
「陸田は結婚しないのか?」
「はい。未だに彼女ができる気配もないから結婚には程遠そうです。課長はどうです?」
休憩中に陸田さんと課長が話をしていて私は書類の整理をしながら耳を澄ましていた。