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愛おしいキミに極甘な林檎を
第6章 結婚相手

「オレも当分ないな。でも子供が苦手だから丁度いいがな」
「意外ですねー。このまま二人で生涯独身コースですか」
課長の返答に驚いてしまって書類を捲っていた手がピタリと止まる。
子供が苦手ということは、子供がいらないということ……!?
定時になるまで課長と二人っきりになる時間もなく、誘う隙さえもなくてモヤモヤしたまま今年の仕事を終えた。
あっという間にやってきた大晦日。今年は雪がなくて朝から晴天。
理人さんの兄弟には完璧に懐かれて実家に帰りにくくなったから祖父の家で年を越すことにした。
「風子ねえちゃん、理人兄ちゃんとけっこんしないの?」
「うん、しないよ」
「えぇー。お母さんみたいだからずーっといてくれたらいいのになぁ」
幼い子の純粋な視線で心が痛む。
もうすぐ年を越すけど、来年の私は結婚してお腹に子供を宿しているのかな……。
まずは結婚相手か……。

