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愛おしいキミに極甘な林檎を
第41章 あなたがいない

ダンボール箱の中に適当に積まれている山盛りのファイル。
年月の順番に並べないといけないから片付けるには時間が掛かりそうだ。
去年もやっているから手馴れた作業をひとりで進めていく。
終わりが見えたのは午後四時半を過ぎた頃。
今年は早く終わりそうだ。
片付けるファイルを持って資料室へ行く。
開いていたドアを閉めてからファイルを戻す棚へと向かった。
あまり音を立てずに片付けていると何やら人の気配を感じる。
「今、誰か入ってきませんでしたか?」
耳を澄ますとどこからか小声で話しているのが聞こえてきた。
「あれは出て行ったんだって。だから続きをシよ……?ね、鈴ちゃん……」
「陸田さん……」
信じられない会話が聞こえてきて私は目を大きく見開いて固まった。

