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愛おしいキミに極甘な林檎を
第44章 愛の結晶


「風子は……、トレイに行ったんだ。まだ帰って来ないんだよなー……」



「ふーん。……ねえ、兄さん。まだ話してなかったから忘れないうちに言おうと思ったんだけど、僕はやっぱり医大に進むよ」



「そうか。……頑張って」

何か思う事があるのか、疲れているのかソラ先輩は静かな口調で答えた。


「だからこっちのことは心配しないで姉さんと暮らしてね。……おやすみ」



「……うん、おやすみ」


パタンとドアが閉まった後、羽毛布団から顔を出してソラ先輩の様子を見守っていたけどしばらくすると眠ったようだった。


いつものように私も一緒に眠れると思いきや、今日はなぜだか眠れない。


知らない場所をたくさん歩き、セックスもして程よい疲労があるのに目が冴えている。



枕元に置いたスマホを見るとまだ午後十一時。



眠くなるまで何をしよう……。




とりあえずトイレに行こうと思って私の体を抱いていたソラ先輩の腕をそっと退かして、ふかふかの布団から出てパジャマに着替えた。



二階のトイレがどこなのか分からなくて、一階に下りるとソラ先輩のお母さんとばったり会った。


何を言っていいのか分からなくて頭を下げるとにっこりと笑みを浮かべられる。


「うふふ、眠れそう?」



「実は目が冴えてしまいまして……」


「それなら丁度いいわ。風子ちゃん、ちょっと二人っきりで話したいことがあるからこっちに来て」


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