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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

「だーれだ?」
女の方から返事が返ってきたのは聞いたことのある声だった。
思い当たる人はもここにいるわけがない。
呆然としているうちに電車が二駅ほど過ぎてしまったと思う。
開いた口が塞がらないまま、女の方を見るとニヤリと笑われた。
髪型と口元をよく見たら誰なのか分かって名前を口にしてみる。
「なっ…、那砂さん……?」
「当ったりー!久しぶりね、風子ちゃん」
そうなるともう片方の男は決まっていた。
「気づくのが遅せぇんだよ」
颯太だ。サングラスを外してむすっとした顔を私に見せてくる。
「えっ…、ええ……?どうしてここにいるんですか……?」

