この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第49章 揺らぐ未来、そして……

“大切なものを壊す”
新くんが言っていたそれはソラ先輩が一番好きだったものだった。
私がそれを見せるとソラ先輩はとても喜んでくれて、幸せそうな顔をしていた。
何よりも大切にしてくれているものを見せたくて毎日そうしていたんだけど、今は……――――
「ただいま。今日は久しぶりに風子の好きなチーズケーキ買ってきたよ」
「……おかえりなさい。ありがとう…ございます……」
嬉しいのに壊されてしまったせいで、いつものように笑うことができない。
鋭い氷の刃が心に突き刺さったような感覚が抜けなくて口角を上げる邪魔をする。
笑っている時の私が好きで見せてあげることができなくてもどかしさを感じていた。

