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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

数ヶ月後。私は彼にプロポーズをされて結婚することに決めた。
結婚式当日に純白のウエディングドレスを着て鏡に写った晴れ姿の自分を見る。
「どうかな……?」
「とっても綺麗よ、風子ちゃん」
恥じらいながら聞いてみると後ろで見ていた母が喜んでくれた。
準備を先に終えてやって来た彼もドレス姿の私を見てそのこと肯定するように褒めてくれる。
ずっと着てみたいと思っていたウエディングドレスを着れて、優しい夫ができてとても幸せだ。
それなのに、ひとりになって頭に思い浮かぶのは結婚する彼ではなくて人生で一番愛した人。
私の前から姿を消した日以来ずっと会っていない。
今はどこで何をしているんだろう……。
スマホにソラ先輩の連絡先はまだ残っている。
メッセージの履歴は付き合っていた時の日にちで他愛のない内容で止まったまま。
この先、電話も来ることがないと分かっているのに未だに消せないでいる。

