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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

りんごを拾ってくれた人が誰なのか顔を上げて確認すると、私は驚いて目を大きく見開いた。
その瞬間、時が止まったかのように動けなくなって息をするのでさえも忘れてしまう。
「……風子、久しぶり」
忘れかけていた声が耳へと響くと目頭が熱くなってくる。
「本当に久しぶりですね……」
胸がいっぱいになってきた私の声は震えていて同じ言葉を返すのがやっとだった。
りんごについた土を祓ってから渡してくれたスーツ姿の人は、高校時代の大好きな先輩であり、心の奥でずっと愛している人。
最後に見た時よりも大人びた風格が漂っていて、もう二度と会えないと思ってからとても緊張する。
「どうしてここにいるんです?今は仕事中じゃないんですか?」

