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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

涙を拭っていると後ろにいたソラ先輩がドアを閉めて私の肩に触れてくる。
「その手紙はラブレターでもあるんだよ?最初の文字を縦に読むと分かると思うけど、それが風子に一番伝えたいことだから」
コートのポケットに入れていた置手紙を取り出して開き、言われたとおりに読んでみると私への気持ちが書かれていた。
口を聞かなくなるほど怒っていても変わらない想いにまた涙が零れ落ちる。
「……分かりづらいですけど、ちゃんと伝わりました」
「よかった」
安堵するように言ったソラ先輩の声は、二日前の夜に話し合った時よりも穏やかに聞こえた。
「二回も約束を破ってごめんなさい。でも帰ってきてくれたってことは、気持ちが落ち着いたってことですよね?
私のことを許してくれるんですか……?」

