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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……

そして私が握っていたドライヤーを代わりに持って、長い髪を撫でるように触れてきた。
「風子の髪はいつもいい匂いがするね。俺が乾かすよ」
「わぁー、ありがとうございます。……今日はご機嫌ですね」
「機嫌がいいと言うより風子が帰ってきたから嬉しいんだよ」
「ふふっ、それは機嫌がいいってことじゃないですか」
手ぐしでとかされている髪が乾いていく。
丁寧に扱ってくれるから少し擽ったい。
その様子を鏡を見ていると、なんだか見たことのあるような光景だと思った。
「これ……、なんだか夢で見たことがあります」
「へえ、じゃあ正夢になったってことなんだね」
「前にソラ先輩が見た夢と似たような夢を私も見たって言ったじゃないですか。
その時の夢であった場面なんですよ。だから正夢になって欲しくないです……」

