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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……

颯太が話の途中で喋ることをやめた時、少し離れたところからこちらをじっと見ている女性三人組に気付いた。
「ねぇ。あの茶髪の男の顔、前にテレビに出てたイケメン医師に似てない?」
「そうだとしたら、今ネットで噂になってる人だったりして。ってことはあの女の子が婚約者?うそぉ~」
「でもこんなところにいるわけないんじゃない?有名人だから東京に住んでそう」
周囲から様々な会話が聞こえる人混みの中、怪しまれているような声が微かに耳に入ってくる。
書き込みを目で見て怯えていたけど、実際耳にするとその恐怖が増す。
血の気が引いてきて手が震えてきた時、ソラ先輩が触れてきて温かさを感じた。
その熱は、傍にいるから大丈夫と言っているように思えて少し心が楽になれた気がした。
「このままここにいたら危ねえな。……逃げるぞ」

