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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り



「そっちの狭い路地に行けないか?」


「なんでですか?」


「いいから早くしてくれ」


「はっ、はい……!」


強引な口調に驚きながらも急いで近くにある店と店の間にある狭い路地に入った。

そこは人一人歩けるくらいの幅の路地。


ついてきた課長は道を塞ぐように私の前に立ちはだかる。


真剣な表情でいるからふざけている様子ではない。


どうしてこんなことをするのか理解できなくて、バッグを両手で握った私は眉間にしわを寄せて課長を見上げた。


「何かあったんですか?」



「前に会った塑羅緒くんの会社の上司がいたんだ。まだこっちには気付いていなかったと思うが」


火ノ浦さんがいたんだ……。


話しながら歩いていたから周囲を歩いている人なんて気にしていなかったから分からなかった。


「こうやって乙羽を見えなくすれば気づかれなくて済むし、守れるだろう」


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