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第55章 届かぬ愛の裏切り

二人でデスクに戻るとまた潮崎さんから何かあるだろうというような目を向けられた。



どうしてそこまで気にしているのか分からないけど、今はそんなことより課長とのことで頭がいっぱいだった。




仕事が終わり、会社を出てから暗くなった帰り道を歩く。


「今日も寒いですね。通勤、大変じゃないですか？道路も凍って危ないですし」


「引っ越したおかげで前よりも会社に近くなったからそこまででもない」


無難な話をしながら課長といつも通りに足を進める。


でも人通りが多い場所から離れてからは普段歩かない道へと向かった。



雪がまだ残っていて静かな場所に着いた時、課長が先に足を止める。


「ところで昼に言っていた大事な話とはなんだ？」



少し前で立ち止まった私は、一旦目をつむってから後ろを振り向く。





「妊娠したので責任を取ってください」