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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り

私の胸元についているほこりを取ろうとしたのか課長が手を伸ばしてきたけれど、触れずに途中でピタリと止まる。
これ以上、近づけてこないと思った私は胸元についていたほこりを手でサッと掃った。
「あっ、すみません。さっき使ってなかったコピー用紙を運んでいる時についたんだと思います」
「汚れても仕事をするとは頑張り屋さんだな」
「午後も頑張ります。そうそう、今日も残業があるから遅くなるって彼氏からメッセージが届いたんですよ。
……だから今日はちょっとゆっくり歩いて帰ってもいいですか?」
「今日は特に用事もないから大丈夫だがどうした?」
自販機にお金を入れて温かいミルクティーを買い、両手で持ちながらにっこりと微笑んで答える。
「課長……、いえ……、郁哉さんに大事な話があるんです」
「大事な話……?」
「はい。帰りに話しますね」

