パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第56章 あなたを愛しているから……

課長がコーヒーを持って給湯室から出て行くのを見送った後、潮崎さんが口を尖らせて私の方を見てくる。



「なんだよ、あれ。課長ってば嫉妬してんじゃん。……風子の初恋の相手はおれなのに」


「嫉妬というか、ただ注意しただけだと思いますよ。それにもう過去のことなんだし、関係ないじゃないですか」


落ちてしまった茶葉をさっさと片付けている時に、自分の言っていることが間違いであることに気づいた。


過去のことが関係ないわけがない。


私にとってどんなつらい過去でも自分を作り上げてきた大事な記憶だ。



「ねえ、潮崎さんの初恋の人が私なんですか……？」


「違う。初めて好きになった女の子は風子じゃなかったけど、中学の時におれも風子のことが好きだったの。
でも風子の初恋の人はおれだったから」



どうしてもしっくりこない私は眉を八の字にして首を傾げた。



「うーん……。それって過去の私が言ったんですかね？」