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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……

「なっ、なんだよ……。記憶がないって言ってたけど何か思い出したのかよ」
調理台の端に集めた茶葉を捨てようとすると、潮崎さんが気を利かせてゴミ箱を持ってきてくれた。
昔からの知り合いというだけあって私の言動を割とすぐに理解してくれるから助かる。
でも二人きりになるといつも課長に怒られがちだったから、口だけでなく手も動かしながら会話を続ける。
「最近、前のことが思い出せそうな気がしているんですよね。詳しい事は思い出せないけど、記憶に残るほど楽しかったこととか」
「おれでも忘れてるようなどうでもいい記憶を思い出したのかと思った~。
でも子供の頃の記憶なんて大人になると忘れるのは当然のことだろ。
今になって思い出すほうがすごいって」
「大事なことでも……?」

