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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……



「そうそう。小学生の頃なんて、余程印象に残るようなことがないと覚えてないって。

同じクラブに入ってた他の学年のやつとかもう名前すら思い出せないし」



「名前……。……名前…ですか……」


潮崎さんが言ったことから、なぜなのかその言葉が引っ掛かった。


誰かの名前……。



小さい頃に忘れられない名前があったような気がする。


それは潮崎さんの名前だっけ……。



「でも大人になるとみんなそんなものだって。だから風子は普通だよ。普通」


高校一年生の夏までの記憶がないことを悲観的に思っていたけど普通だと初めて言われた。


馬鹿にするような目で見てこないのが嬉しく思えるけど、まだ普通と言えるほど思い出せてない気がする。



「そういえば、潮崎さんは私に何か協力して欲しいって言ってましたよね。あれってなんですか?」


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