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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……

侮辱するような言い方が頭にきて、課長が庇ってくれたのにも関わらず私は前に出た。
嫌味を言う鬱陶しい男でもソラ先輩の上司。
社会的に私より上だと思うと歯向かうのは怖いけれど、もう黙っていられない。
「あなたが私を狙うから守ってもらうために一緒に帰っているんです」
「またネット上に書かれちゃうかもよ?社長の孫の婚約者であるお嬢さんが浮気してるって。たくさんの人に不貞が知られて大騒ぎだったようだねぇ」
「もうその手は通用しません。こっちにはネット関連に強い味方がいますから何度湧いてきても潰してもらいます」
手に汗を握りながら強気で迫ると、火ノ浦さんは薄気味悪く笑ってから両手を八の字のように広げて肩を竦めた。
「いやいや、怖いお嬢さんだ。はっきり言うと、うちの会社は買収されたから評判が悪くなったらこっちも困るんだよねぇ。まさか雪原の女があそこまでやるとは思っていなかったよ」
「あの……、転勤するんですよね?」
「おや?使えない部下が悪口でも言っていたのかな。お嬢さんはそれが嬉しいの?……だけど今度はお嬢さんのカレシが遠い場所に飛ばされちゃうかもねぇ」

