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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……




「あなただって塑羅緒くんを恨んでいる人とは他人では?」


「社長だった雪原の親父とは親友でねぇ。その息子が後を継ぐと子供の頃から遊びもせずに勉強して、いい大学に出てやっと就職できた。
長年してきた努力を思うと自分の息子のように可愛くて、応援したくなるんだよ」



「なるほど……」


火ノ浦さんと冷静に話をする課長を隣で見ていた私はギリッと唇を噛んだ。


他人と言われた後に、ソラ先輩の“友達”だと言ってくれると思っていた。


それなのにどうして他人だと認めるような態度を取っているんだろうっと思って胸が苦しくなった。



「お嬢さんにとって雪原は嫌な奴だと思うけどね、他人の苦労は目に見えて分からないものなんだよ」


「その言葉、そっくりそのままお返しします。彼氏だって色んな苦労をしてきてます」



「金持ち育ちのお坊ちゃんには分からないって。……でもそうだなぁ。

大切なお嬢さんと結ばれなかったのはとても可哀想だから、そこの課長さんと結婚するならおれは手を引こうか。

本当はお嬢さんのその卑猥な体を活かして色々やってもらいたかったんだけど……」


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