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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……



木曜日の夜。

いつものように仕事を終えて課長と帰り、しばらくすると玄関のインターホンが鳴った。


ガスコンロの火を止めて小走りで玄関へ向かうと、待っていた人がやって来て頬が緩む。



「こんばんは、風子ちゃん。いきなり呼ぶから驚いちゃった」


来て欲しいと頼んだのは、乙羽家の母。


いつもと何ら変わりない笑顔を見せてくれるからホッとする。


「お母さん、ごめんね。急に用事をお願いしちゃって……」



「いいのよ~。引っ越してから風子ちゃんの生活の様子を見てみたかったから。
……あら、塑羅緒くんはまだ帰ってきてないの?」


「うん。今日も少し残業をしてくるって……」



「忙しいのね~。まっ、風子ちゃんたちはこれから家庭を持っていくんだし、旦那さんには沢山稼いでもらわないとだからいい事かぁ。

あっ、これ。頼まれてた物が入ってるから」


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