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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔

「考えていることが読めないので、ちゃんと言ってもらわないと何なのか分かりません」
問い詰めるように聞くと課長は前に進めていた足を止めた。
「……妊娠のことだ」
サーッと通り過ぎて行った車の音が耳に入るほど、その重い言葉を放たれた後が静かになる。
何を言いたかったのか分かっているくせに、わざと妊娠の事を言わせる私は意地悪だ。
ソラ先輩の性格がうつったのかもしれない。
でも私もあまりこの話題を話したくなかった……。
「元気そうに見えるが悪阻とかは大丈夫なのか?つらかったら言ってくれ」
「…………」
「オレも子育てだってちゃんとする。もちろん今から乙羽の仕事量も配慮するから、して欲しいことは気兼ねなく言って欲しい」
本心は分からないけど、優しい言葉に目が熱くなってきて涙が浮かんでくる。
その涙が流れてしまわないようにギリッと歯を食いしばった。
「じゃあ、早速言わせてもらいますよ」
「なんだ?」

