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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人




「まじですか!おれは中一の時でしたよ」


二月十二日。会社の給湯室の近くを歩いていると、課長と潮崎さんの話し声が聞こえてきた。


しかも耳に入ってきた話は仕事の話ではなさそうだった。


男同士で仕事以外に話すと言うと下ネタ、つまりエッチな話題を話しているイメージがある。


この流れでいくと、初体験の話とか……?


足音を立てないようにして給湯室へ近づき、そーっと覗いてみる。


「意外と遅いんだな。もっと早いかと思っていた」


「いやー、そんなもんですよ。女子とは違いますし」


「確かに女子の方が早い子が多かったな」



二人は何を言っているのやら……。


初めてエッチをする年齢がそんなにも早い環境にいたんだろうか。



信じられなくてドキドキしながら覗いていたら、足を動かした時にヒールの音をコツッと鳴らしてしまった。


「あ、風子じゃん。さては男同士の話を盗み聞きしてたな?」


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