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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

後ろを振り向くと潮崎さんが私の後を追い掛けてきていた。
仕事が終わったら駐車場の方に真っ直ぐ行くと思っていたから予想外だった。
ここで焦るような仕草を見せてしまっては、何かあると疑われてしまいそうだ。
小学校の文集と中学生の卒業アルバムを見せてもらったと話した時も面白くないような顔をしていたから非常に危険である。
「あっ、ソラ先輩。この人が新しく入ってきた同級生の潮崎さんです」
表面的には冷静さを保って無難な対応をしておく。ここは紹介するのがベストだろう。
「初めまして。婚約者の彼女がいつもお世話になってます」
私のことを彼女と婚約者であることをアピールしたソラ先輩も表面的には笑顔だった。
でもこの笑みはブラックな方だ。
長く一緒にいるからこそ作っている笑顔か自然のものか見分けることができる。
「こっ、こちらこそ、風子には毎日お世話になってます……。やっぱり婚約者…なんですね……」

