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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

“今日は”の次は何を伝えたかったのか書かれていなくて分からない。
これは忙しくてメッセージを急いで打ったと思われる。
そんなところも想像できてしまうんだからソラ先輩と離れていても離れている気がしない。
これが結婚というものなのかな。
妻になったらもっと繋がりを深く感じたりして……。
スマホを持ちながらソラ先輩との関係にじーんと浸っていると、会社の近くにタクシーが止まった。
徒歩で帰れる距離にタクシーを利用するのは心苦しいけど、今日は傘がないから有難い。
でもどうして今日はこのパターンなんだろう。
課長に送ってもらう約束もまだ終わっていなかったはず……。
疑問に思いながら玄関口の自動ドアを出ると、そのタクシーから降りて傘をさしてこちらへやってくる人がいた。
会社の来訪者かと思いきや、傘を持っている人は私の方に近づいてきて中に入れてくれる。
「お疲れ様。さあ、帰ろうか。……風子ちゃん」
「えっ……!?どっ、どうしてここに……」

