この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ

「そんなに前から……」
「あの頃、風子ちゃんは前のお父さんに連れられて遊びに来てたからね。バレンタインチョコのお返しにハートのネックレスを塑羅緒が渡したのは覚えてるかい?」
「それなら今でも持っています」
記憶を失う前も持ち歩いていて、大学生の頃に見つけてからもずっと大切にしまっていたシルバーのハートのネックレス。
これが小さい頃に離れてしまった私たちを再会させてくれるきっかけになったことはソラ先輩から聞いていた。
「大事にしてもらえていたんだね。塑羅緒がまた風子ちゃんと遊びたいって言ってネックレスを買ったんだよ。
その願いが“結婚”という形で叶うんだから親としても驚きだけど」
幼い純粋な思いが愛というものに変わったことを知り、くすぐったく感じながらも料理の続きに取り掛かる。
話が一段落したのか、叶斗さんはダイニングテーブルの方に行ってから渡したコップにお茶をついで飲んでいた。

