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愛おしいキミに極甘な林檎を
第11章 甘い口付けを再び……

二月中旬。今年は日曜日がバレンタインデーか……。
渡すのはお世話になっている同居人と職場の人たちと具体的に考えてみると人数が多い。
土曜日に買い出しに行き、義理として渡す生チョコとクッキーを大量に作る。
そしてその二つよりも少し手間のかかるお菓子を一つだけ作った。
バレンタインデー当日。出掛けようとして玄関でブーツを履いていると理人さんがやって来る。
「風子さん、どこに行くんですか」
「とっ、友達の家ですよ。……はい、理人さん。これ“義理”チョコです」
「さり気なく渡してきますね。ありがとうございます。行くのは例の上司の家ですか?それとも、もう一人の方ですか」
「どっちでもいいじゃないですか。夜には戻りますので探さないで下さい」

