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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意

安心するぬくもりに包まれているうちに私の心が開いて、母にも話せなかったことを言える勇気が出た。
でも悲しませてしまうことだから話しにくいのは変わらない。
お湯を両手ですくい、湯船へと落ちてから私は重たい口を開いた。
「……明日がくるのが怖いです」
僅かに揺れる水面に風呂ふたについていた水滴がぽたんと落ちる音が響く。
「覚えていることが少なくなっても大丈夫だよ。必要なことはいつでも俺が教えるから」
「それでも大事なことを毎日忘れていっているんです。昨日は覚えていたはずなのに、どんどん思い出せなくなってて……。
上司の名前もソラ先輩に言われるまで思い出せませんでしたし、昨日ソラ先輩と話したことも忘れています……。
このままいくと、いつかすべて忘れてしまう時がくるかもしれません……」
一番大切な存在であるソラ先輩のことも……。

